売上7億円の壁を超えられない?塗装・リフォーム・建設会社が見直すべき「組織の仕組み」
【本コラムで分かること】
- なぜ塗装・リフォーム・建設会社は売上7〜10億円前後で成長が鈍化しやすいのか
- 社長のカリスマ経営だけでは会社を伸ばしにくくなる理由
- 幹部が「伝達係」にならず、経営を支えるために必要な役割
- 役職ごとの責任と管理すべき数字を明確にする方法
- 評価制度を整え、社員が「何を頑張ればいいのか」を分かる状態にする方法
- 幹部会議と予実管理で、売上だけでなく利益を管理する方法
- 7億円前後から10億円を目指す会社が組織を仕組み化するための考え方
売上7億円を超えたあたりから、なぜか会社が伸びない。幹部は動かない、社員は辞める、売上は増えても利益が残らない――。その原因は「組織」にあるかもしれません。
「売上は伸びているのに、なぜか利益が残らない」
「幹部に任せたいのに、社長が細かく指示しないと動かない」
「社員が辞めるたびに、採用と教育を繰り返している」
「営業・施工管理・事務の役割が曖昧になっている」
このような悩みは、売上規模が大きくなった建設会社・専門工事会社で起こりやすい経営課題の一つです。
小規模な会社であれば、社長自身が営業・採用・現場・数字まで把握し、直接指示することで会社を動かせます。
しかし、社員数が増え、複数の現場や営業拠点を抱えるようになると、社長一人ですべてを管理することは難しくなります。
そこで重要になるのが、「社長が頑張る経営」から「組織と数字で動く経営」への転換です。
本コラムでは、ゲームチェンジ株式会社代表・中屋氏の動画内容をもとに、売上7〜10億円前後の建設会社・専門工事会社が成長の壁を突破するために見直したい、組織づくりと幹部育成のポイントを解説します。
▼今回のテーマを動画でも解説しています▼
売上7〜10億円前後で起こりやすい「組織の壁」と、幹部育成・予実管理の重要性について解説しています。
1. なぜ売上7〜10億円前後で「組織の壁」が起こるのか
売上7〜10億円前後の会社は、外から見るとすでに地域で有名な企業になっているケースがあります。
店舗や拠点があり、社員も増え、施工実績も積み上がっている。経営者自身も、創業から会社を成長させてきた実績があります。
ところが、会社の内部では次のような問題が起こり始めます。
- 幹部が思うように動かない
- 社員の離職が続く
- 営業担当者が疲弊する
- 施工管理の負担が増える
- 社長が細かい判断まで行わなければならない
- 売上は増えているのに利益が残らない

売上の成長と組織の壁のイメージ図
この段階では、単純に「もっと営業を頑張る」「もっと採用する」といった対策だけでは、根本的な解決にならないことがあります。
必要なのは、会社の規模に合わせて組織の仕組みを作り直すことです。
2. 社長のカリスマ経営だけでは10億円を超えにくくなる理由
会社が小さいうちは、社長の判断力や営業力がそのまま会社の成長力になります。
社長が顧客のことを理解し、営業現場を把握し、社員一人ひとりに直接指示することで、会社全体を動かすことができます。
しかし、社員が増え、現場が複数になり、管理すべき案件や数字が増えると、社長の声がすべての社員へ直接届く状態ではなくなります。

情報伝達構造のイメージ図
ここで重要になるのが幹部の役割です。
幹部が単なる「社長の伝達係」になっていると、社長の考えが現場へ正しく伝わらなくなります。
一方で、幹部が数字を見て判断し、部下を育成し、会社の方針を自分の言葉で伝えられるようになれば、社長がすべてを直接管理しなくても組織を動かせるようになります。
3. 最初に見直したいのは「組織図」と「役割」です
組織づくりの第一歩は、現在の組織を紙に書き出すことです。
営業、施工管理、事務、経理など、それぞれの部門について、
- 誰が責任者なのか
- 誰が誰を管理するのか
- 誰が最終判断するのか
- どの数字に責任を持つのか
を明確にします。

各部門の組織図
特に注意したいのが、「全員がフラットで、誰が責任者なのか分からない状態」です。
役割が曖昧な会社では、問題が発生したときに「誰が判断するのか」「誰が改善するのか」が分からなくなります。
例えば店長に対して、単に「売上を上げてください」と伝えるだけでは不十分です。
売上なのか、成約率なのか、粗利なのか、集客なのか。どの数字について責任を持つのかを明確にする必要があります。
4. 成長企業に必要な「3つの仕組み」
売上7〜10億円前後から組織を強化する際、特に重要になるのが次の3つです。
- 役割の定義
- 評価制度
- 幹部会議と予実管理

組織を強くする「3つの仕組み」イメージ図
4-1. 役割を明確にする
まず、「誰が何に責任を持つのか」を明確にします。
例えば、営業責任者であれば、売上だけを見るのではなく、
- 問い合わせ数
- 商談数
- 見積提出数
- 成約率
- 受注金額
- 受注粗利
など、自社の営業プロセスに合わせて管理項目を設定します。
4-2. 評価制度を整える
社員が「何を頑張れば評価されるのか」が分からない状態も、組織が大きくなるほど問題になります。
営業であれば売上や成約率を評価しやすい一方、施工管理や事務などは、単純な売上だけでは評価できません。
そのため、職種ごとに「会社が期待する成果」を定義する必要があります。
評価基準が明確になれば、社員にとっても、
- 何を目指せばよいのか
- どの能力を伸ばせばよいのか
- どのような行動が評価されるのか
が分かりやすくなります。
4-3. 幹部会議と予実管理を行う
3つ目が、感覚ではなく数字で会社を管理することです。
売上だけを見るのではなく、予算と実績を比較し、差異が生じた原因を確認します。
これによって、「売上は上がっているのに利益が残らない」といった問題も、どこで数字が崩れているのかを追いやすくなります。
5. 売上が増えても利益が残らない会社に起きていること
建設会社・専門工事会社では、売上高だけを見ていると経営状態を正しく判断できません。
例えば社長は「利益を残したい」と考えているのに、営業担当者が売上だけを追い、大幅な値引きを行ってしまうケースがあります。
また、受注時には十分な粗利があると思っていた案件でも、追加発注や手直しなどによって完工時の粗利が大きく下がる場合があります。

粗利と各工程のイメージ図
そのため、少なくとも次の数字は継続的に確認したいところです。
- 受注金額
- 受注時の予定原価
- 受注粗利額・受注粗利率
- 実際にかかった原価
- 完工粗利額・完工粗利率
- 受注粗利と完工粗利の差
- 追加工事・追加発注・手直しの有無
重要なのは、数字が悪かったことを誰かの責任にすることではありません。
「なぜ差が生まれたのか」を分類し、次の案件で同じ問題を起こさない仕組みに変えることが重要です。
6. 幹部が機能しない会社では「社長の方針」が現場まで届かない
会社が大きくなると、社長が直接社員全員に指示することは難しくなります。
そのため、社長と現場の間にいる幹部が重要な役割を担います。
幹部には、単に社長の言葉を伝えるだけではなく、
- 会社の方針を理解する
- 自分の言葉で部下へ伝える
- 数字を見て判断する
- 部下を育成する
- 問題を社長へ報告する
- 改善策を実行する
といった役割が求められます。
つまり、幹部は「伝達係」ではなく「経営を現場へ落とし込む責任者」として機能する必要があります。
7. 社員が辞める原因を「個人の問題」だけにしない
社員が退職したとき、つい「本人に問題があった」と考えてしまうことがあります。
もちろん、退職には本人側の事情もあります。しかし、同じような理由で複数の社員が辞めているのであれば、会社側の仕組みにも目を向ける必要があります。
例えば、
- 会社がどこへ向かっているのか分からない
- 自分の役割が曖昧
- 評価基準が分からない
- 頑張っても評価されている実感がない
- 上司によって言うことが違う
- 育成の仕組みがない
といった状態が続けば、社員の不満につながる可能性があります。
特に「給与が低いから辞めた」と結論づける前に、評価・役割・育成・組織の方向性に問題がないかを確認することが重要です。
離職を防ぐためには、退職者を責めることではなく、同じ問題が繰り返される構造を見つけることが必要です。
8. 売上7〜10億円から10億円を目指すための組織づくり
ここまでの内容を整理すると、7〜10億円前後からさらに会社を成長させるためには、次の順番で組織を整えることが重要です。

年商ごとの成長ロードマップ
- 組織図を作る:誰が誰を管理するのかを明確にする
- 役割を定義する:役職ごとの責任と管理数字を決める
- 評価基準を整える:何を達成すれば評価されるのかを明確にする
- 幹部を育成する:数字を見て判断し、部下を育成できる人材を増やす
- 予実管理を行う:感覚ではなく、予算と実績の差を見る
- 会議を仕組み化する:数字を確認し、改善策と担当者を決める
- 権限委譲する:社長がすべて判断する状態から脱却する
ここで大切なのは、単に「社長が仕事を手放す」ことではありません。
判断基準・数字・責任範囲を明確にしたうえで、幹部へ権限を渡すことが重要です。
9. 組織の壁を突破するために、社長が最初に確認すべき5つの質問
最後に、現在の組織が10億円規模の会社を目指せる状態になっているか、次の5つを確認してみてください。
- 組織図を見たとき、誰が誰の責任者なのか明確ですか?
- 各幹部が、自分の責任数字を説明できますか?
- 社員は「何を頑張れば評価されるのか」を理解していますか?
- 月次の会議で、予算と実績の差を確認していますか?
- 社長が不在でも、幹部が判断して会社を動かせますか?
もし複数の質問に「いいえ」と答えるのであれば、売上をさらに伸ばす前に、組織の仕組みを見直すタイミングかもしれません。
10. ゲームチェンジが支援できること
ゲームチェンジ株式会社では、住宅塗装会社・リフォーム会社・建設会社・専門工事会社の経営者様に向けて、売上拡大だけではなく、会社の成長に合わせた組織づくり・幹部育成・数字管理をご支援しています。
- 組織設計:営業・施工管理・事務などの役割と責任範囲を整理
- 幹部育成:数字を見て判断し、部下を育成できる幹部づくり
- 評価制度:役職・職種ごとの評価基準を整理
- 予実管理:売上・粗利などの予算と実績を継続的に管理
- 会議設計:幹部会議などで数字を確認し、改善につなげる仕組みづくり
- 採用・育成:組織の成長に合わせた採用・人材育成の計画づくり
大切なのは、社長自身がさらに頑張ることではありません。
社長の考えを組織全体へ伝え、幹部が判断し、社員が役割を理解して動ける仕組みを作ること。
売上7〜10億円前後で成長が鈍化している場合は、営業や集客だけではなく、一度「組織」という視点から会社を見直してみることをおすすめします。
11. よくある質問(FAQ)
Q. なぜ売上7〜10億円前後で会社の成長が鈍化するのでしょうか?
A. 必ずしもすべての会社に当てはまるわけではありませんが、社員数・案件数・拠点数などが増えることで、社長個人の判断や経験だけでは管理しきれなくなり、組織や数字管理の仕組みが追いつかなくなるケースがあります。
Q. 売上10億円を目指すなら、まず何から始めればよいですか?
A. まずは現在の組織図を書き出し、誰が誰を管理し、各役職がどの数字に責任を持っているのかを明確にすることをおすすめします。
Q. 幹部が社長の指示を伝えるだけになっています。どうすればよいですか?
A. 幹部の役割を「伝達」だけにせず、数字を見て判断する責任、部下を育成する責任、会社の方針を自分の言葉で伝える責任まで明確にすることが重要です。
Q. 社員が辞めるのは給与が原因ではないのでしょうか?
A. 給与は退職理由の一つになり得ます。ただし、それだけが原因とは限りません。会社の方向性、役割、評価基準、育成環境などに不満がないかも合わせて確認することが重要です。
Q. 予実管理では何を見ればよいですか?
A. 売上だけではなく、受注粗利、完工粗利、原価、販管費など、自社の経営判断に必要な数字を設定し、予算と実績の差、その原因を継続的に確認することが重要です。
Q. 売上が増えているのに利益が残りません。何を確認すればよいですか?
A. 受注時の予定粗利と完工時の実際の粗利を比較し、追加発注、追加工事の未請求、手直し、原価超過、値引きなど、どこで利益が減少したのかを確認することをおすすめします。
Q. 社長がすべての仕事を手放す必要がありますか?
A. すべてを手放す必要はありません。重要なのは、社長が直接判断する業務と、幹部へ権限委譲する業務を整理し、責任範囲と判断基準を明確にすることです。
Q. ゲームチェンジでは建設会社・専門工事会社の組織づくりについて相談できますか?
A. はい。ゲームチェンジ株式会社では、住宅塗装会社・リフォーム会社・建設会社・専門工事会社の経営者様に向けて、組織設計、幹部育成、評価制度、予実管理、採用・育成などについてご相談いただけます。