【建設業向け】3年後の人手不足を防ぐ、今から始めるインターンシップ採用
住宅塗装会社・リフォーム会社・建設会社の経営者、採用責任者向け
求人を出して待つ採用から、学生と早く出会い、現場体験を通じて採用・定着につなげる採用へ。制度改正、3つのメリット、失敗しない5日間プログラムの設計ポイントを解説
- 早期接点:就職活動が本格化する前から学生に自社を知ってもらう
- 会社理解:現場体験を通じて「きつそう・危険そう」といった先入観だけで判断されるのを防ぐ
- ミスマッチ低減:学生と会社の双方が、実際の仕事との相性を入社前に確認する
- 採用への接続:一定要件を満たすインターンシップでは、取得した学生情報を採用活動開始以降に活用できる
- 採用資産化:毎年継続することで、学校との関係や社員の育成ノウハウまで蓄積できる
【本記事で分かること】
- なぜ建設業・専門工事業で若手採用を後回しにできないのか
- 2025年卒からインターンシップと採用活動の関係がどう変わったのか
- 採用につながるインターンシップの3つのメリット
- 「現場見学だけ」で終わるインターンシップが失敗しやすい理由
- 5日間以上のプログラムを設計するときの確認ポイント
- 夏休み・春休みに向けて、いつから準備を始めるべきか
- 継続実施で学校との関係・技術継承・採用チャネルを資産化する方法
「今は現場を回すだけで手一杯だから、新卒採用はまだ先でいい」。その先送りが、3年後・5年後の人材不足をさらに深刻にする可能性があります。
「若手を採用したいが、そもそも応募が来ない」
「求人サイトと人材紹介だけに頼っている」
「新卒採用に興味はあるが、何から始めればいいか分からない」
「採用しても、仕事のイメージ違いで早期離職してしまう」
このような悩みは、住宅塗装会社・リフォーム会社・建設会社・専門工事会社で共通して起こりやすい採用課題です。
動画内で紹介されている業界データでは、建設業で働く人のうち55歳以上が約37%、29歳以下が約12%とされており、現場を支えるベテラン層に対して若手層が少ない構造が示されています。
また、動画では建設業の有効求人倍率が高い水準にあり、採用できても早期離職が起こる企業が少なくないことも指摘されています。つまり、「欠員が出てから求人を出す」だけでは、将来の施工体制や技術継承まで守りにくい状況になっています。
そこで重要になるのが、学生と早い段階で接点を持ち、実際の仕事を体験してもらうインターンシップです。
本記事では、動画の内容をもとに、なぜ今、建設業・専門工事業にインターンシップが必要なのか、制度改正のポイント、3つのメリット、失敗しない設計方法、実施までの準備を具体的に解説します。
▼詳しく解説している動画はこちらから▼
建設業がインターンシップに取り組むべき結論
建設業のインターンシップは、単なる学生向けイベントではなく、若手との早期接点・ミスマッチ低減・採用活動への接続を同時に狙える採用施策です。
特に重要なのは、現場見学だけで終わらせず、就業体験・社員による指導とフィードバック・実施期間などの要件を踏まえてプログラムを設計することです。思い立ってすぐ実施するのではなく、学生の長期休暇に合わせて数か月前から準備する必要があります。
1. なぜ今、建設業にインターンシップが必要なのか
1.1. ベテランが抜ける一方、若手の比率は低い
動画では、建設業で働く人のうち55歳以上が約37%、29歳以下が約12%と紹介されています。

建設業の年齢構成図
この年齢構成のまま時間が経てば、ベテラン社員が退職したときに、技術や現場運営を引き継ぐ若手が十分に育っていない会社が出てきます。
塗装工事、防水工事、屋根工事、リフォーム、設備工事などの専門工事業は、施工品質や現場対応の多くを人の経験と技術に依存します。若手採用を先送りすると、単に「人手が足りない」だけでなく、受注しても施工体制を組めない、技術を承継できない、次の現場責任者が育たないという経営課題につながります。
1.2. 「必要になったら採る」では間に合いにくい
動画内では、建設業の有効求人倍率は高い水準が続いており、中小規模の企業ではさらに採用競争が激しいという趣旨のデータが紹介されています。
また、高卒で入職した若手の早期離職も課題として挙げられています。採用人数だけを増やしても、仕事内容を十分に理解しないまま入社すれば、「思っていた仕事と違った」という理由で定着しない可能性があります。
だからこそ、欠員が出てから募集するのではなく、学生の段階から自社を知ってもらい、仕事を体験し、入社後のイメージを持ってもらう採用活動が必要です。
インターンシップの目的は、参加人数を増やすことではありません。
3年後・5年後の現場を支える若手と早く出会い、自社の仕事を正しく理解してもらうことです。
2. 2025年卒から変わったインターンシップのルール
2.1. 4類型のうち「インターンシップ」に該当するのはタイプ3・4
現在の学生のキャリア形成支援は、大きく4つのタイプに整理されています。

インターンシップ4類型
| 類型 | 主な位置づけ | 学生情報の採用活動への活用 |
|---|---|---|
| タイプ1 | オープン・カンパニー | 不可 |
| タイプ2 | キャリア教育 | 不可 |
| タイプ3 | 汎用的能力・専門活用型インターンシップ | 一定要件を満たす場合、採用活動開始以降に活用可能 |
| タイプ4 | 高度専門型インターンシップ | 制度上の条件に沿って活用可能 |
動画で特に扱われているのは、一般的な中小建設会社でも検討しやすいタイプ3のインターンシップです。
2025年卒から、一定の要件を満たしたインターンシップで企業が得た学生情報を、採用活動開始以降に活用できるようになりました。つまり、正しく設計されたインターンシップは、会社理解の場にとどまらず、採用活動へつながる重要な接点になっています。
2.2. 採用につなげるには「就業体験」が必要
動画では、採用につながるインターンシップの主な条件として、次のポイントが紹介されています。
- プログラムの半分以上を就業体験に充てる
- 社員が学生を指導する
- 実施後に社員からフィードバックを行う
- 汎用的能力活用型では5日間以上を目安に実施する
- 主な対象を学部3・4年、修士1・2年とする
- 学業との両立を考え、長期休暇期間を中心に実施する

採用につながるinternship6つの要件
制度上の確認:タイプ3では、上記に加えてプログラム内容や学生情報の活用方針など、募集要項等での情報開示も重要です。専門活用型は実施期間などの条件が異なるため、実施前に最新の公的ルールを確認してください。
2.3. 「インターンをやれば自由に早期選考できる」わけではない
制度改正のポイントは、一定要件を満たすインターンシップで取得した学生情報を採用活動開始以降に活用できることです。
インターンシップ自体が、そのまま無条件で採用選考になるわけではありません。実施時期、対象学生、プログラム内容、情報開示、採用活動の日程ルールを確認しながら設計する必要があります。
3. 建設業がインターンシップに取り組む3つのメリット

インターンシップ3つのメリット
3.1. 学生と早期接点を持ち、自社を正しく知ってもらえる
建設業や専門工事業は、学生が実際の現場を見る機会が少ない業界です。
そのため、「きつそう」「危険そう」「休みが少なそう」といったイメージだけで、就職先の候補から外されることがあります。
インターンシップで現場を体験してもらえば、仕事内容だけでなく、次のような自社の魅力を直接伝えられます。
- 工事が完成したときの達成感や仕事のやりがい
- 職人・施工管理・営業が連携するチームワーク
- 会社独自の技術力や施工品質へのこだわり
- 現場社員の人柄や社内の雰囲気
- 若手がどのように仕事を覚え、成長していくか
求人票の文章だけで伝えるよりも、実際の現場・社員・仕事を体験してもらう方が、学生の会社理解は深まります。
3.2. 入社後のミスマッチを減らせる
「入社してみたら、思っていた仕事と違った」。このギャップは、若手の早期離職につながる代表的な要因の一つです。
インターンシップで業務を実際に体験すれば、学生は「自分にこの仕事が合うか」を入社前に判断できます。
同時に企業側も、一緒に作業する中で、面接だけでは分かりにくい学生の行動やコミュニケーションの特徴を確認できます。
インターンシップは、学生が会社を選ぶ場であると同時に、会社が学生との相性を確認する場でもあります。
3.3. 就職活動が本格化する前から関係をつくれる
就職活動が本格化してから募集を始めると、大手企業や知名度の高い会社と同じタイミングで学生を取り合うことになります。
一方、インターンシップを通じて早い時期から関係をつくっておけば、学生が企業比較を始める前に、自社の仕事や社員を知ってもらえます。
動画内でも、求人サイトと人材紹介だけに頼っていた専門工事会社が、夏に5日間のインターンシップを初めて実施し、参加学生の複数名が「実際の現場を見てイメージが変わった」と感じ、その後の採用活動につながった事例が紹介されています。
4. 採用につながるインターンシップの設計方法
4.1. 失敗例は「とりあえず現場見学だけ」
動画で紹介されている代表的な失敗パターンは、学生を現場へ連れて行き、見学だけして終わるインターンシップです。
現場を見るだけでは、学生は「見学した」という印象で終わりやすく、仕事への理解も深まりにくくなります。また、タイプ3のインターンシップとして必要な就業体験の要件を満たさない可能性があります。
採用につなげるには、学生自身が手を動かし、社員から指導を受け、最後にフィードバックを受けるところまで設計することが重要です。

失敗するインターンと採用につながる
4.2. 5日間プログラムの基本構成例
動画の内容をもとに、建設会社・専門工事会社が5日間で実施する場合の基本構成を整理すると、次のようになります。
| 日程 | 内容例 | 学生に伝えること |
|---|---|---|
| 1日目 | 会社・業界説明、安全教育、現場での役割説明 | 会社の存在意義、事業内容、安全への考え方 |
| 2日目 | 施工管理・現場業務の就業体験 | 工程・品質・安全を管理する仕事の意味 |
| 3日目 | 工事写真、測定、材料・施工工程などの体験 | 現場で求められる正確さとチーム連携 |
| 4日目 | 若手社員との同行・座談会・仕事体験 | 入社後の成長、社風、働く人のリアル |
| 5日目 | 成果発表、社員からの個別フィードバック | 自分の強み、仕事との相性、次のキャリア |

建設業インターン「5日間プログラム」
注意:上記は動画内容をもとにした構成例です。実際に制度上のインターンシップとして実施する場合は、就業体験が実施期間の半分を超える設計になっているか、最新の要件に照らして確認してください。
4.3. 受け入れ社員の「教える力」も設計する
学生を受け入れるときは、人事担当者だけでなく、現場社員の協力が必要です。
「何を体験させるか」だけでなく、誰が担当し、どの場面で何を教え、どのようなフィードバックを返すかまで決めておきます。
この準備はインターンシップだけのためではありません。社員が学生へ仕事を説明することで、自分の業務を言語化する機会が生まれ、新卒・中途のOJTや社内の技術継承にも使える指導ノウハウが蓄積されます。
5. インターンシップは数か月前から準備する
5.1. 実施時期から逆算して準備する
タイプ3のインターンシップは、学部3・4年や修士1・2年の長期休暇期間を中心に実施します。
そのため、「来月やろう」と思ってすぐに実施できるものではありません。動画でも、夏休みや冬・春休みに向けて数か月前、場合によってはさらに早い段階から準備する必要があると説明されています。
最低限、次の項目を先に決めておきます。
- 採用目的:施工管理、職人、営業など、将来どの人材を採りたいのか
- 対象学生:学部・学科・学年・地域など、どの学生と出会いたいのか
- 体験内容:実際の仕事を何日、どの社員のもとで体験してもらうのか
- 受け入れ体制:指導担当、現場、安全管理、フィードバック担当を誰にするか
- 学生集客:学校、求人サービス、自社サイト、SNSなど、どこから参加者を集めるか
- 採用への接続:終了後の連絡、会社説明、採用活動開始後の案内をどう設計するか

インターンシップ準備ロードマップ
5.2. 継続すると「自社独自の採用チャネル」になる
インターンシップを毎年続ける最大の価値は、1回の採用成果だけではありません。
継続的に学生を受け入れることで、求人広告や人材紹介だけに依存しない、自社独自の採用チャネルが育っていきます。
- 学校の就職担当者に会社を覚えてもらえる
- 過去参加者から後輩へ口コミが広がる
- 若手社員が学生に仕事を教える文化ができる
- 現場の指導方法や育成ノウハウが標準化される
- 学生との接点を毎年継続的に作れる
動画では、毎年インターンシップを受け入れている専門工事会社が、学校の就職担当者から「ぜひ生徒を紹介したい会社」として名前が挙がるようになり、学校訪問をしなくても先方から声がかかる関係を築いた事例も紹介されています。
継続するほど、採用チャネルそのものが会社の資産になる。これが、単発の求人広告とは大きく異なる点です。

インターン継続での採用チャネル資産化イメージ図
6. まとめ:若手採用は「募集」より前から始める
建設業・専門工事業では、ベテラン層の退職と若手不足が同時に進む中、欠員が出てから求人を出す採用だけでは将来の施工体制を守りにくくなっています。
インターンシップは、学生に会社を知ってもらうイベントではなく、若手との早期接点をつくり、仕事理解を深め、ミスマッチを減らし、採用活動へつなげるための仕組みとして設計することが重要です。
- 若手採用を後回しにせず、3年後・5年後の人員体制から逆算する
- 2025年卒からの制度変更を理解し、タイプ3などの要件に沿って設計する
- 現場見学だけでなく、就業体験・社員指導・フィードバックを組み込む
- 学生と会社の双方が相性を確認し、入社後のミスマッチを減らす
- 長期休暇の実施時期から逆算し、数か月前から準備する
- 毎年続けて、学校との関係・採用チャネル・育成ノウハウを資産化する
「来年こそ新卒採用を」と考えているうちに、準備できる長期休暇が一つ過ぎれば、採用活動のスタートはさらに1年遅れる可能性があります。
若手採用に本腰を入れたいのであれば、まずは「何人採りたいか」ではなく、どの仕事を体験してもらい、どの社員が教え、どのように採用へつなげるかを今から設計することが第一歩です。
7. よくある質問
Q. 建設業でインターンシップを行うメリットは何ですか?
A. 主なメリットは、学生との早期接点を作れること、現場体験によって仕事内容や会社を正しく理解してもらえること、入社後のミスマッチを減らせることです。一定要件を満たすインターンシップでは、取得した学生情報を採用活動開始以降に活用できます。
Q. 1日の現場見学でもインターンシップになりますか?
A. 現在の4類型では、企業説明や短時間の見学はオープン・カンパニー等に該当する場合があります。タイプ3のインターンシップとして採用活動への情報活用を想定する場合は、就業体験、社員による指導・フィードバック、実施期間などの要件を満たす必要があります。
Q. 建設業のインターンシップは何日間必要ですか?
A. タイプ3の汎用的能力活用型インターンシップでは5日間以上が一つの基準です。専門活用型はより長い実施期間が求められるため、企画時に最新の公的要件を確認してください。
Q. インターンシップ参加者をそのまま採用選考に進められますか?
A. 一定要件を満たすタイプ3・4では、インターンシップで取得した学生情報を採用活動開始以降に活用できます。ただし、インターンシップ自体が無条件で採用選考になるわけではなく、採用活動の日程ルールや対象プログラムの要件に沿った運用が必要です。
Q. インターンシップはいつから準備すればよいですか?
A. 学生の夏休み・冬休み・春休みなど長期休暇に合わせて実施するため、少なくとも数か月前から準備するのがおすすめです。プログラム、受け入れ社員、安全管理、学生募集、学校との連携まで考えると、早めの設計が必要です。
Q. 小規模な塗装会社・リフォーム会社でも実施できますか?
A. 実施できます。大人数を集める必要はなく、少人数でも実際の仕事を体験でき、社員が指導・フィードバックできる内容にすることが重要です。自社の施工現場、営業、積算、現場管理など、学生に体験させられる業務から設計できます。