塗装会社の年商10億円ロードマップ|出店・多角化・組織づくりを徹底解説
年商5億円前後から、10億円企業を目指す塗装会社の経営者へ
今の延長線上では、年商10億円には届かない。塗装会社が次の成長ステージへ進むための『経営の設計図』を解説します。
【本記事で分かること】
- 塗装会社が年商10億円を目指すための2つの成長ルート
- 「住宅塗装8億円+多角化2億円」という事業ポートフォリオの考え方
- 10億円企業に必要な組織・集客・営業・施工・採用の基準
- 年商5〜8億円で成長が止まりやすい会社が見直すべきポイント
「年商5億円までは来た。けれど、ここから先の伸ばし方が見えない」。塗装・リフォーム会社の経営者から、こうした相談は少なくありません。
年商10億円を目指すときに難しいのは、広告を増やすことでも、営業マンを数人増やすことでもありません。今までの成功パターンを、そのまま大きくするだけでは組織が先に限界を迎えることです。
本コラムでは、住宅塗装会社が10億円規模へ成長するための考え方を、「出店」「多角化」「組織」「集客」「営業」「施工管理」「採用」の7つに分けて整理します。経営全体をひとつの設計図として捉えることで、自社が次に何を整えるべきかが見えやすくなります。
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結論:10億円企業になるには「出店×多角化」を、組織力で支える必要があります
塗装会社が年商10億円を目指すなら、基本戦略は「既存の住宅塗装モデルを多店舗展開すること」と「住宅塗装に隣接する事業へ多角化すること」の2つです。
目安として、住宅塗装で8億円、多角化で2億円をつくる設計がひとつの考え方です。ただし、店舗数や事業を増やすだけでは伸びません。店長を含む組織づくり、集客CPA、営業の標準化、施工品質、採用への投資まで同時に整える必要があります。
1. 塗装会社が年商10億円を目指す2つの方法
10億円という売上規模を目指すとき、まず決めるべきなのは「何を伸ばして10億円をつくるのか」です。住宅塗装会社の場合、大きく分けると方法は2つあります。
ひとつは、現在の住宅塗装ビジネスモデルの精度を高め、新しい商圏へ積極的に出店すること。もうひとつは、住宅塗装を軸にしながら、リフォーム・工場塗装・大規模修繕などへ事業を多角化することです。
1.1 出店:強い1店舗をつくり、再現する
多店舗展開では、単純に店舗数を増やせばよいわけではありません。まず既存店で集客・営業・施工・採用のモデルをつくり、その勝ち方を別商圏へ再現できる状態にする必要があります。
ひとつの目安として考えたいのが、50万人商圏で1店舗、1店舗あたり4〜5億円を目指すモデルです。20万〜30万人商圏で小型店を増やすより、大きな商圏にしっかり投資し、ショールームや組織の規模そのものを差別化要因にする考え方です。
1拠点の組織イメージ
営業6名、施工管理2名、事務2名の約10名体制をひとつの目安にします。これを2拠点つくれば約20名。住宅塗装で8億円規模を狙うための土台になります。

年商10億円多角化売上イメージ図
1.2 多角化:住宅塗装だけに売上を依存しない
住宅塗装だけで10億円をつくることは不可能ではありません。ただ、成長の選択肢を広げるなら、住宅塗装と相性のよい周辺事業を持つ方が経営の幅は広がります。
候補として挙げられるのは、リフォーム、工場塗装、大規模修繕です。リフォームは既存顧客に提案しやすく、集客コストを抑えやすい一方、専任人材や競合との価格競争が課題になります。工場塗装や大規模修繕は既存の塗装ノウハウを生かしやすい反面、Web広告やチラシだけでは案件化しにくく、テレアポ・DM・訪問など法人営業の仕組みが必要です。
2. 住宅塗装8億円+多角化2億円で10億円を設計する
事業ポートフォリオを考える際は、最初から多角化を主役にしすぎないことがポイントです。まず住宅塗装という自社の強みを伸ばし、その上に新しい事業を載せていく方が、既存の集客・営業・施工ノウハウを生かしやすくなります。
ひとつのモデルは、住宅塗装で8億円、多角化で2億円。住宅塗装を収益の中心に置きながら、リフォーム・工場塗装・大規模修繕などで2億円を上積みするイメージです。
※表は横にスクロールできます。
| 事業 | 売上イメージ | 経営上のポイント |
|---|---|---|
| 住宅塗装 | 8億円 | 2拠点体制を軸に、集客・営業・施工を標準化 |
| 多角化事業 | 2億円 | リフォーム・工場塗装・大規模修繕などから、自社に合う領域を選ぶ |
| 合計 | 10億円 | 単一事業ではなく、既存事業の強化と新規事業を両輪で進める |
多角化を急ぎすぎると、既存事業の人材や資金まで分散します。まず住宅塗装でしっかり粗利を確保し、人材投資ができる状態をつくる。そのうえで、専任者を置ける事業から伸ばしていく方が現実的です。

年商10億円成長ロードマップ
3. 年商10億円の壁は「人を増やす」だけでは越えられない
売上が数億円まで伸びると、次にぶつかりやすいのが組織の壁です。営業を増やしても店長が育っていない。採用しても教育できない。社長が全拠点を見ないと数字が動かない。こうなると、店舗を増やすほど経営者の負担も増えていきます。
10億円企業を目指すなら、採用計画だけでなく、未来の組織図を先に描くことが欠かせません。何店舗にするのか、店長は何人必要か、営業・施工管理・事務を何人配置するのか。その人材をいつ採用し、誰が育成するのかまで逆算します。
3.1 「生産性を上げる」と「人を増やす」を分けて考える
労働集約型のビジネスでは、1人あたりの生産性を上げるフェーズと、組織の人数を増やすフェーズの両方が必要です。生産性が低いまま採用だけ増やせば利益が薄くなり、逆に生産性だけを追求して人を増やさなければ売上の上限が決まります。
だからこそ、売れる仕組み・施工できる仕組み・育成できる仕組みを先につくり、その仕組みに人を載せるという順番が大切です。

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4. 集客はWebだけに依存せず、CPAを全体で管理する
10億円を目指す規模になると、Web広告だけで必要な問い合わせ件数を取り切るのは難しくなります。デジタル集客に加えて、チラシなどのアナログ集客、近隣・紹介といったリファラルを組み合わせ、全体の集客効率を設計する必要があります。
ひとつの目安として、平均単価120〜130万円前後のモデルでは、全体CPA6万円を切れるかを確認します。ただし、都市部など平均単価が170〜200万円と高いエリアでは、許容できるCPAも変わります。CPAだけを単独で見るのではなく、平均単価と粗利率をセットで見ることが欠かせません。
集客で確認したい3つの数字
全体CPA、平均単価、粗利率です。CPA6万円はあくまで一つの目安であり、地域・客単価・粗利構造によって適正値は変わります。
また、大型店を出すなら店舗そのものへの投資も必要です。通常の出店基準より1.3〜1.5倍程度大きな店舗を持ち、ショールームの見せ方や商圏内での存在感まで含めて差別化する考え方もあります。

集客導線図
5. 営業は「売れる人」を増やすのではなく「売れる仕組み」をつくる
営業マンの人数を増やすだけでは、売上は安定しません。トップ営業だけが受注し、新人は成果が出ない状態では、多店舗展開した瞬間に営業品質が崩れます。
必要なのは、営業フローを標準化し、どこで失注しているかを把握することです。初回接触から現地調査、見積提示、クロージングまでの流れを決め、失注要因を毎月振り返ります。
5.1 成約率60%・粗利率35〜40%・平均単価120〜130万円を確認する
営業会議では、感覚ではなく数字で比較します。ひとつの基準として、成約率60%、粗利率35〜40%、平均単価120〜130万円を確認し、基準からどこが外れているのかを見ます。
成約率が低いなら営業フローや競合対策、粗利率が低いなら商品設計や値引き、平均単価が低いならプラン構成や提案内容に課題があるかもしれません。売上だけを見るのではなく、原因となるKPIまで分解することが改善の出発点です。

営業KPI解説図
6. 施工管理と採用が伸びなければ、売上を増やしても詰まる
集客と営業が好調でも、施工能力が追いつかなければ完工できません。施工管理では「職人が足りないのか」「管理品質に課題があるのか」を切り分ける必要があります。
高品質な協力業者をどう増やすか、施工管理者が何件まで現場を持てるか、粗利を落とさず施工できるか。売上を増やす前に、この供給側のキャパシティを確認しておくことが大切です。
6.1 採用はコストではなく、10億円をつくるための投資
10億円規模を目指すなら、採用にも相応の投資が必要です。中途採用だけでなく新卒採用も含め、将来の店長・営業責任者・施工責任者を計画的に増やしていきます。
特に重要なのは、採用して終わりにしないことです。経営理念、事業計画、人事評価制度、教育、マネジメントを整え、入社した人が戦力化し、さらに次の人材を育てられる状態までつくる必要があります。

成長サイクル図
7. 年商10億円までのロードマップは「順番」が重要
10億円を目指すときに、すべてを同時に始める必要はありません。むしろ優先順位を誤ると、投資だけが先行し、利益が残らなくなります。
まずは既存店のビジネスモデルを磨き、集客・営業・施工の基準値を整える。次に、店長候補を含む未来組織図をつくり、1拠点を社長以外でも回せる状態にする。そのうえで2拠点目を出し、住宅塗装8億円の土台をつくる。最後に、自社の強みと人材に合う多角化事業を2億円規模へ伸ばしていく。この順番で考えると、投資判断がしやすくなります。
- 既存店の収益モデルを整える:集客・営業・施工のKPIを把握する
- 未来組織図をつくる:店長・営業・施工管理・事務の必要人数を逆算する
- 2拠点体制をつくる:住宅塗装で8億円規模を目指す
- 多角化を載せる:リフォーム・工場塗装・大規模修繕などで2億円を目指す
- 経営管理を仕組み化する:社長個人ではなく、組織で数字を動かす
「10億宣言」についても押さえておきたい方へ
年商10億円を目指す際は、出店・組織・集客だけでなく、 成長投資や金融機関との連携を含めた経営計画も重要になります。 「10億宣言」の考え方や、建設・塗装・リフォーム会社が今から整理しておきたいポイントは、 以下のコラムで詳しく解説しています。
8. まとめ|10億円は「売上目標」ではなく、経営全体の再設計でつくる
塗装会社が年商10億円を目指すとき、必要なのは広告費を増やすことでも、店舗を増やすことでもありません。出店、多角化、組織、集客、営業、施工、採用をつなげて設計することです。
現在5〜8億円前後で伸びが止まっている会社ほど、「もっと集客する」より先に、どこが次のボトルネックになるのかを見極めることが重要です。自社の商圏、平均単価、粗利率、組織人数を並べ、10億円時点の姿から逆算してみてください。
9. 塗装会社の年商10億円に関するよくある質問
塗装会社が年商10億円を目指すには、何店舗必要ですか?
ひとつの考え方は、50万人商圏で1店舗あたり4〜5億円を狙い、2拠点で住宅塗装8億円前後をつくるモデルです。ただし、商圏人口だけで決めず、競合状況・平均単価・集客効率・採用可能人数まで含めて判断する必要があります。
住宅塗装だけで年商10億円を目指すのは難しいですか?
住宅塗装だけで10億円を目指すことは不可能ではありませんが、事業の幅を持たせるなら多角化も有効です。本コラムでは、住宅塗装8億円を主軸に、リフォーム・工場塗装・大規模修繕などで2億円を上積みする考え方を紹介しています。
塗装会社の集客CPAはいくらを目安にすべきですか?
平均単価120〜130万円前後のモデルでは、全体CPA6万円を切ることがひとつの目安です。ただし、都市部など平均単価が高い地域では許容CPAも変わるため、平均単価・粗利率とセットで判断します。
年商10億円を目指す営業組織で見るべきKPIは何ですか?
成約率、粗利率、平均単価、失注理由を継続して確認します。ひとつの基準として、成約率60%、粗利率35〜40%、平均単価120〜130万円を置き、基準との差から改善点を特定します。
売上を伸ばす前に採用や組織づくりを始めるべきですか?
はい。出店後に店長や施工管理者を探し始めるのでは遅いため、10億円時点の未来組織図から必要人数を逆算し、先行して採用・育成を始める考え方が重要です。